[相談]
私が経営している会社に中途入社した従業員の長男(10歳:その従業員の扶養親族)が、療育手帳(障害の程度は「B(中度)」と記載されています)の交付を受けているそうです。
その従業員は、その長男について所得税法上の障害者控除を受けられるのでしょうか。
[回答]
ご相談の場合、その従業員は、その扶養親族である長男について、27万円の障害者控除を受けることができます。
[解説]
1.療育手帳とは
厚生労働省によれば、療育手帳とは、「知的障害児・者への一貫した指導・相談を行うとともに、これらの者に対して各種の援助措置を受けやすくするため、児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害と判定された者に対して、都道府県知事又は指定都市市長が交付する。」ものとされています。
また、療育手帳に記載される障害の程度及び判定基準については、重度(A)とそれ以外(B)に区分することとされていますが、交付自治体によって独自に重度(A)とそれ以外(B)を細分化すること等も認められています。
2.障害者控除とは
所得税法上、納税者本人が障害者である場合には、その人のその年分の所得金額から27万円(その人が特別障害者である場合には、40万円)を控除すると定められています。
また、納税者の扶養親族等が障害者である場合には、その納税者のその年分の所得金額から、その障害者1人につき27万円(その人が特別障害者である場合には、40万円)を控除するとも定められています。
この制度のことを、障害者控除といいます。
3.療育手帳の交付を受けている人の障害者控除額
所得税法上、療育手帳の交付を受けている人は、上記2.の障害者控除の適用を受けることができると定められています。
このとき、その障害の程度が療育手帳に重度として「A」などと表示されている人は、上記2.の特別障害者として40万円の所得控除を受けることができ、重度以外の人(療育手帳に「B」などと表示されている人)については、27万円の所得控除を受けることができます(扶養親族等が療育手帳の交付を受けている場合も同様です)。
また、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)にも適用されます。
したがって今回のご相談の場合、その従業員は、その扶養親族である長男について、27万円の障害者控除を受けることができることとなります。
[参考]
所法2、79、所令10、厚生労働省「療育手帳制度の概要」、「療育手帳制度について」(昭和48年9月27日厚生省発児第156号)、「療育手帳制度の実施について」(昭和48年9月27日児発第725号)など
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