やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2020/10/27
個人が発行する原稿執筆料の領収書と、印紙税

[相談]

 私が勤務している会社では、このたびの新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって業績が悪化したことから、希望退職者を募集することになりました。私はこの募集に応募して会社を退職し、これまで副業として行っていたフリーライターの仕事に専念したいと思っています。
 そこでお聞きしたいのですが、その原稿料について領収書を発行した場合、その領収書に印紙を貼る必要はあるのでしょうか。
 なお、フリーライターの仕事は個人事業として行います。また、これまでは、原稿料が多くても1万円程度であったことから、領収書に印紙は貼っていませんでした。


[回答]

 ご相談の内容を前提としますと、個人として発行する原稿料の領収書については、印紙を貼る必要はないものと考えられます。


[解説]

1.印紙税の課税対象となる領収書

 印紙税法では、「課税物件」として定められた文書に対して印紙税を課税することが定められています。

 「売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(いわゆる領収書)」もその課税物件の1つとされており、領収書に記載金額がある場合には、その記載金額に応じて1通につき200円から20万円、記載金額がない領収書については1通につき200円の印紙税が課税されるため、該当する領収書については、定められた金額の印紙を貼らなければいけないこととなります。

2.印紙税が非課税となる領収書

 領収書に対する原則的な印紙税の取扱いは上記1.のとおりですが、印紙税法では一定の領収書については印紙税を非課税とすることも定められています。
 印紙税が非課税となる主な領収書の具体例としては、「記載された受取金額が5万円未満の受取書」や「営業に関しない受取書」などがあります。

3.印紙税法上の「営業」の考え方

 上記2.のとおり、「営業に関しない受取書(領収書)」は印紙税が非課税とされているため、営業に関しない領収書であれば、仮にその記載金額が5万円以上であっても、その領収書には印紙を貼る必要はないこととなります。
 このため、印紙税法における「営業」の定義や考え方が問題になりますが、印紙税法上、株式会社などの会社の行為はすべて営業に該当することとされています。

 次に、個人の行為が印紙税法上の「営業」に該当するかどうかについては、原則的には「商法」で定める「商行為」に該当するかどうかによって判断することとされています。
 商法では、営利を目的として同種の行為を反復継続して行うもののうち、一定のものを「営業的商行為」として定めていますが、具体的には下記のとおりです。

(営業的商行為)

  1. @賃貸する意思をもってする動産もしくは不動産の有償取得もしくは賃借、又はその取得し、もしくは賃借したものの賃貸を目的とする行為
  2. A他人のためにする製造又は加工に関する行為
  3. B電気又はガスの供給に関する行為
  4. C運送に関する行為
  5. D作業又は労務の請負
  6. E出版、印刷又は撮影に関する行為
  7. F客の来集を目的とする場屋における取引
  8. G両替その他の銀行取引
  9. H保険
  10. I寄託の引受け
  11. J仲立ち又は取次ぎに関する行為
  12. K商行為の代理の引受け
  13. L信託の引受け

 今回のご相談の場合、フリーライターの仕事は、会社でなく個人事業として行うこと、また、原稿の執筆行為は上記@〜Lの行為にはあたらないことから、印紙税法上の「営業」には該当しないこととなります。

 したがって、ご相談の原稿料の領収書については、印紙税法上の「営業に関しない受取書」として取り扱われ、印紙税は非課税であると考えられます。


[参考]
印法2、印法別表第一第17号文書、国税庁印紙税質疑応答事例、商法501、502など


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