
給与計算に欠かせない『源泉徴収』。源泉徴収を行う際に用いられる、“源泉徴収税額表”について、令和3年分ではこの取扱いが一部変わります。
給与を支払う者は、原則、その支払の都度、源泉徴収税額を計算し、徴収します。また、その年最後の給与の支払時には、対象者について年末調整を行い、その年の源泉徴収税額の過不足を精算します。この精算単位は、事業者が個人であろうと法人であろうと関係なく、暦年です。
源泉徴収税額を求める際に、『給与所得の源泉徴収税額表(月額表及び日額表)』(以下、源泉徴収税額表)を用いる場合、扶養控除等申告書の提出者であれば、源泉徴収税額表にある“甲欄”を使用します。そうでなければ日雇賃金を除き、“乙欄”を使用します。
- 甲欄…扶養控除等申告書の提出者
- 乙欄…扶養控除等申告書の未提出者(日雇賃金を除く)
- 丙欄…扶養控除等申告書の未提出者に対して日雇賃金を支払う場合
源泉徴収税額表を用いて、甲欄の給与の源泉徴収税額を求める際には、支給する給与等の明細とともに、給与の支払を受ける者(以下、給与受給者)の“扶養親族等の数”が必要となります。
この“扶養親族等の数”とは、次の合計数です。
- 源泉控除対象配偶者がいる場合→1人
- 控除対象扶養親族がいる場合→該当者数
- 給与の受給者本人が障害者(特別障害者を含む)に該当する場合→1人
- 給与受給者本人が寡婦に該当する場合→1人
- 給与受給者本人がひとり親に該当する場合→1人
- 給与受給者本人が勤労学生に該当する場合→1人
- 給与受給者の同一生計配偶者や扶養親族が障害者(特別障害者を含む)に該当する場合→該当者数
- 給与受給者の同一生計配偶者や扶養親族が同居特別障害者に該当する場合→該当者数
上記のうち、令和3年分から改正されたのが、『寡婦』と『ひとり親』です。
これらは、すでに令和2年分の所得税から改正されており、令和2年分の年末調整時には改正後で税額の精算が行われていますが、毎月(毎日)の源泉徴収に関しては、令和3年分からの適用となります。
そのため、この改正を踏まえた、源泉徴収税額表が国税庁で作成されています。
令和2年分のような源泉徴収税額自体の改正はされていませんが、上記の改正がありますので、ご留意ください。
実務上は、提出された扶養控除等申告書の記載内容で“扶養親族等の数”を計算します。内容に不備がないかご確認ください。
令和3年1月以降の給与支払は、必ず令和3年分の源泉徴収税額表あるいはそれに見合った“電算機計算の特例”等を用いて、適正な源泉徴収を行いましょう。
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